筆者自身も中古マンション売却の際に、配偶者控除の適用条件を詳しく調べた経験があります。
マンション売却にかかる税金の基本
マンション売却で利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間によって税率が大きく異なります。所有期間5年以下(短期譲渡)の場合は税率39.63%(所得税30.63%+住民税9%)、5年超(長期譲渡)の場合は税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。ただし「居住用財産の3,000万円特別控除」が適用されれば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、多くのケースで税金がゼロになります。適用条件は、売却する物件に住んでいること(または住まなくなって3年以内)です。
配偶者控除とは:年収150万円以下の配偶者がいる世帯主の税負担を軽減する制度
配偶者控除は、年収150万円以下の配偶者(妻または夫)がいる世帯主の所得税・住民税を軽減する制度です。
控除額は配偶者の年収と世帯主の年収によって決まり、最大38万円(住民税は33万円)の所得控除を受けられます。
2018年の税制改正により、従来の年収103万円から150万円に適用範囲が拡大され、より多くの世帯が恩恵を受けられるようになりました。
ただし、世帯主の年収が1,195万円を超えると段階的に減額され、1,220万円を超えると完全に適用外となります。
配偶者控除の基本的な仕組み
配偶者控除は「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2つに分かれています。
多くの人が混同しがちですが、適用条件と控除額が異なるため、正しく理解することが大切です。
配偶者控除(年収103万円以下)
配偶者の年収が103万円以下の場合に適用される控除です。
控除額は一律38万円(住民税は33万円)となります。
ただし、配偶者が70歳以上の場合は「老人控除対象配偶者」として、控除額が48万円(住民税は38万円)に増額されます。
配偶者特別控除(年収103万円超〜201万円以下)
配偶者の年収が103万円を超えても、201万円以下であれば配偶者特別控除が適用されます。
控除額は配偶者の年収に応じて段階的に減額される仕組みです。
年収150万円以下なら満額の38万円、それを超えると徐々に減額され、201万円を超えると控除はゼロになります。
配偶者控除の適用条件
配偶者控除を受けるためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 民法上の配偶者であること(内縁関係は対象外)
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与所得のみなら年収103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者として給与を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
特に注意が必要なのは「生計を一にしている」という条件です。
別居していても、仕送りなどで生活費を負担していれば適用されるケースもあります。
| 配偶者の年収 | 控除の種類 | 控除額(所得税) | 控除額(住民税) |
|---|---|---|---|
| 103万円以下 | 配偶者控除 | 38万円 | 33万円 |
| 103万円超〜150万円以下 | 配偶者特別控除 | 38万円 | 33万円 |
| 150万円超〜155万円以下 | 配偶者特別控除 | 36万円 | 33万円 |
| 155万円超〜160万円以下 | 配偶者特別控除 | 31万円 | 31万円 |
| 160万円超〜166.8万円未満 | 配偶者特別控除 | 26万円 | 26万円 |
世帯主の年収制限と控除額の変化
2018年の税制改正により、世帯主(納税者)の年収によって控除額が制限されるようになりました。
年収1,195万円を超えると段階的に控除額が減額され、1,220万円を超えると完全に適用外となります。
年収制限による控除額の変化
| 世帯主の年収 | 配偶者控除 | 配偶者特別控除(最大) |
|---|---|---|
| 1,095万円以下 | 38万円 | 38万円 |
| 1,095万円超〜1,145万円以下 | 26万円 | 26万円 |
| 1,145万円超〜1,195万円以下 | 13万円 | 13万円 |
| 1,195万円超 | 適用外 | 適用外 |
筆者の知人で年収1,200万円の方がいますが、配偶者控除を全く受けられないため、年間で約7万円ほど税負担が増えています。
高所得者にとっては決して小さくない影響です。
配偶者控除を受けるための手続き
会社員の場合は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入するだけで、年末調整で自動的に適用されます。
自営業者などは確定申告で配偶者控除欄に記入する必要があります。
年末調整での手続き
毎年11月頃に勤務先から配布される「扶養控除等申告書」の「源泉控除対象配偶者」欄に記入します。
配偶者の氏名、マイナンバー、年収見込み額を正確に記入することが重要です。
年収見込みが103万円を超える場合でも、150万円以下なら配偶者特別控除の対象となるため、忘れずに記入しましょう。
確定申告での手続き
確定申告書の「配偶者控除」または「配偶者特別控除」欄に、配偶者の所得金額を記入します。
配偶者の源泉徴収票や給与明細などで正確な年収を確認してから記入してください。
マンション売却などで譲渡所得が発生した場合は、配偶者控除と合わせて適切に申告することで節税効果が高まります。
まずは無料の価格診断ツール(/tools/price-checker)で、あなたのマンションの適正価格をチェックしてみてください。
配偶者控除で注意すべきポイント
配偶者控除を適用する際に、多くの人が見落としがちなポイントがあります。
特に年収の計算方法や、他の控除との関係については正しく理解しておく必要があります。
年収103万円・150万円の「壁」の正体
よく「103万円の壁」「150万円の壁」と言われますが、これは配偶者の年収のことを指します。
ただし、この「年収」は税務上の「所得」とは異なる点に注意が必要です。
給与所得の場合、年収103万円は所得48万円に相当します(給与所得控除55万円を差し引いた金額)。
パート収入以外の所得がある場合
配偶者にパート収入以外にも、株式の配当や不動産の賃貸収入などがある場合は、すべての所得を合計して判定します。
例えば、パート年収90万円+株式配当15万円なら合計105万円となり、配偶者控除の対象外となってしまいます。
意外と見落としがちなのが、メルカリなどでの売却益や、クラウドソーシングでの収入です。
これらも年間20万円を超えると申告が必要になり、配偶者控除の判定にも影響します。
社会保険の扶養との違い
配偶者控除(税金の扶養)と社会保険の扶養は、適用条件が異なります。
社会保険の扶養は年収130万円未満が基準で、配偶者控除とは別々に判定されます。
年収120万円の配偶者の場合、配偶者特別控除は受けられますが、社会保険の扶養からは外れることになります。
売るか持つか迷った不動産がある場合は、相続シミュレーター(/tools/inheritance-simulator)で数値比較してみてください。
配偶者控除の節税効果を計算する方法
配偶者控除による実際の節税額は、世帯主の税率によって変わります。
所得税率は所得に応じて5%〜45%の累進課税となっているため、高所得者ほど節税効果が大きくなります。
具体的な節税額の計算例
年収500万円(所得税率10%、住民税率10%)の世帯主が配偶者控除38万円を受けた場合:
- 所得税の節税額:38万円 × 10% = 3.8万円
- 住民税の節税額:33万円 × 10% = 3.3万円
- 合計節税額:7.1万円
年収800万円(所得税率23%)の場合:
- 所得税の節税額:38万円 × 23% = 8.74万円
- 住民税の節税額:33万円 × 10% = 3.3万円
- 合計節税額:12.04万円
このように、世帯主の所得が高いほど配偶者控除による節税効果は大きくなります。
配偶者の年収を調整する意味があるか
配偶者の年収を103万円以内に抑えるべきかどうかは、世帯全体の収入で判断する必要があります。
例えば、年収120万円で働いて配偶者控除を失ったとしても、世帯全体では17万円の収入増となり、控除を失う税負担増(7〜12万円程度)を上回ります。
ただし、社会保険料の負担や通勤費などを考慮すると、必ずしも年収を増やす方が得とは限りません。
個々の状況に応じて、総合的に判断することが重要です。
まとめ:配偶者控除を最大限活用するポイント
配偶者控除について押さえておくべき重要なポイントをまとめます。
- 年収150万円以下なら配偶者特別控除で満額38万円の控除が受けられる
- 世帯主の年収1,195万円超では段階的に減額、1,220万円超で適用外
- 年収103万円・150万円の「壁」にとらわれすぎず、世帯全体で判断する
- パート以外の所得も含めて年収を計算する必要がある
- 社会保険の扶養(130万円未満)とは別の制度である
筆者がマンション売却を経験した際も、譲渡所得と配偶者控除を組み合わせて考えることで、効率的な税務処理ができました。
不動産売却を検討されている方は、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスを活用すると、適正な売却価格を把握しやすくなります。
各社の査定額を比較することで、数百万円の差が生まれることも珍しくありません。
配偶者控除は毎年利用できる制度ですから、適用条件を正しく理解して、着実に節税効果を得ていきましょう。
あわせて読みたい
よくある質問
Q: 配偶者の年収が103万円を1円でも超えたら控除は受けられませんか?
A: 103万円を超えても201万円以下なら配偶者特別控除が適用されます。 150万円以下であれば配偶者控除と同じ38万円の控除を受けることができます。 年収が150万円を超えると段階的に控除額は減りますが、201万円まではある程度の控除が受けられる仕組みです。
Q: 夫婦共働きの場合、どちらが配偶者控除を申請すればよいですか?
A: 配偶者控除は年収の高い方が低い方を扶養する場合にのみ適用されます。 夫婦の年収がほぼ同じ場合は、どちらも配偶者控除の対象にはなりません。 年収差がある場合は、高い方が低い方の扶養控除を受けることになります。
Q: 配偶者がパートとアルバイトを掛け持ちしている場合の年収はどう計算しますか?
A: すべての給与収入を合計した金額で判定します。 パート先A社で年収60万円、B社で年収50万円なら合計110万円となり、配偶者特別控除の対象となります。 複数の勤務先がある場合は、各社の源泉徴収票を確認して正確に合計してください。
Q: 配偶者控除と扶養控除は両方とも適用できますか?
A: 同一の配偶者に対して配偶者控除と扶養控除を重複して適用することはできません。 ただし、配偶者控除を受けながら、子どもや親の扶養控除を同時に受けることは可能です。 各控除の適用条件を満たしていれば、複数の控除を組み合わせて節税効果を高められます。
Q: 年の途中で結婚した場合、配偶者控除はいつから適用されますか?
A: その年の12月31日時点で配偶者がいれば、結婚した月に関係なく1年分の配偶者控除が適用されます。 例えば12月に結婚した場合でも、満額の38万円控除を受けることができます。 ただし、配偶者の年収は1月から12月までの1年間で判定するため注意が必要です。