相続土地国庫帰属制度【不動産鑑定士がデータで比較】
マンション売却にかかる税金の基本
マンション売却で利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間によって税率が大きく異なります。所有期間5年以下(短期譲渡)の場合は税率39.63%(所得税30.63%+住民税9%)、5年超(長期譲渡)の場合は税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。ただし「居住用財産の3,000万円特別控除」が適用されれば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、多くのケースで税金がゼロになります。適用条件は、売却する物件に住んでいること(または住まなくなって3年以内)です。
リード文
相続でマンションや土地を受け継いだものの、活用の見込みがなく手放したいと考える方は増えています。
本記事はデータサイエンティストである筆者が、不動産鑑定士監修のもと執筆しています。
筆者自身、相続した実家の処分と、自分名義のマンション売却で約2,000万円の売却益を得た実体験があります。
その経験も踏まえ、相続土地国庫帰属制度について中立的にデータで解説します。
相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。
2023年4月27日に始まりました。
結論を先に述べます。
対象はあくまで「土地」であり、建物付きの土地は原則対象外です。
そのためマンションを相続した場合、建物と敷地権をセットでこの制度に使うことは基本的にできません。
負担金の目安は20万円からで、宅地では面積に応じて数十万円から数百万円に達するケースもあります。
マンションを相続した方は、この制度よりも売却や賃貸など別の選択肢を数値で比較することが現実的な判断につながります。
相続土地国庫帰属制度の基本を数字で確認する
まず制度の骨格を整理します。
- 対象は相続または遺贈で取得した土地に限られる
- 建物がある土地、担保権が設定された土地などは却下対象
- 申請時に審査手数料1万4千円がかかる
- 承認後は10年分の管理費相当額を負担金として納付する
- 負担金は原則20万円が基準額
負担金は土地の種目によって計算方法が変わります。
宅地で市街化区域内にある場合、面積に応じた計算式が適用され、100平米で約55万円程度になる試算もあります。
農地や森林はさらに別の算定式があり、面積が広いほど負担金も増える傾向です。
法務省の公表資料によれば、制度開始から約1年半で申請件数は2,000件を超えました。
一方で実際に承認された件数は申請数の半分以下にとどまっています。
却下や取り下げになる主な理由は、境界が不明確であることや、建物・工作物が残っていることです。
マンションは制度の対象になるのか
検索で最も知りたい点はここだと思います。
結論として、区分所有マンションの敷地権は、この制度の対象にならないケースがほとんどです。
理由は次の3点です。
- マンションの土地には必ず建物が存在しており、法律上「建物がある土地」に該当する
- 敷地権は他の区分所有者との共有持分であり、単独での申請が難しい
- 制度上、共有地は共有者全員の同意が必要になる
つまりマンションを相続した方が「国に返す」という選択肢は、現実的にはほぼ選べません。
筆者が相談を受けたケースでも、区分所有マンションの相続について国庫帰属を検討した方はいましたが、法務局の事前相談の段階で対象外と案内されています。
この点は不動産会社の営業トークでは触れられないことが多く、知らないまま時間だけが過ぎてしまう相談者を何人も見てきました。
マンションを相続した場合に現実的な選択肢は、主に次の3つです。
| 選択肢 | 初期費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 売却する | 仲介手数料が成約価格の3%+6万円程度 | 住む予定・貸す予定がない場合 |
| 賃貸に出す | リフォーム費用数十万円〜 | 立地が良く需要が見込める場合 |
| そのまま保有する | 固定資産税・管理費が継続発生 | 将来的に自分や家族が使う予定がある場合 |
この3つのうち、どれが経済的に有利かは物件ごとに大きく異なります。
売るか持つかで迷ったら、相続シミュレーター(/tools/inheritance-simulator)を使うと、保有し続けた場合の税負担と売却した場合の手取り額を数値で比較できます。
感覚的な判断ではなく、実際の数字を並べて検討することが後悔を減らす近道です。
相続した土地そのものを国庫帰属させたい場合の負担感
一方で、相続財産にマンションとは別に「利用予定のない土地」が含まれるケースもあります。
例えば実家の敷地や、遠方の未利用地などです。
こうした土地は国庫帰属制度の対象になり得ます。
ただし負担金以外にも見落としやすいコストがあります。
- 測量費用が数十万円かかる場合がある
- 境界確定に近隣所有者の協力が必要
- 老朽建物がある場合は解体費用が別途発生する
筆者の知人が山林を相続した際、解体・測量・負担金を合わせて約80万円の支出になりました。
それでも管理の手間や将来の固定資産税を考えれば、手放す判断をしたと聞いています。
このように国庫帰属は「タダで引き取ってもらえる制度」ではなく、一定の持ち出しが発生する前提で検討する必要があります。
マンションを売却する場合に価格を把握しておく重要性
国庫帰属の対象にならないマンションについては、売却する場合の適正価格を早めに把握しておくことが重要です。
相続したマンションは、相続人自身が住んだことがない物件であることも多く、相場感がつかみにくいという声をよく聞きます。
まずは無料の価格診断ツール(/tools/price-checker)で、相続したマンションの適正価格をチェックしてみてください。
面積や築年数、駅からの距離などを入力するだけで、データに基づいた推定価格帯が確認できます。
査定額は不動産会社によって数百万円単位で差が出ることも珍しくありません。
そのため、価格診断ツールで大まかな相場を把握したうえで、複数社に査定を依頼する流れがおすすめです。
この記事のまとめ
- 相続土地国庫帰属制度の対象は「建物のない土地」に限られる
- マンションの敷地権は原則としてこの制度の対象外
- 負担金は基準額20万円からで、土地の種類・面積で変動する
- マンションを相続した場合は売却・賃貸・保有の3択で数値比較が現実的
- 相続シミュレーター(/tools/inheritance-simulator)と価格診断ツール(/tools/price-checker)を併用すると判断材料が揃う
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よくある質問
Q: 相続したマンションも国庫帰属制度で手放せますか?
A: 原則として対象外です。
マンションの敷地には建物が存在するため、法律上の「建物がある土地」に該当し、制度の対象から外れます。
敷地権が共有持分であることも、単独申請を難しくしている理由です。
Q: 国庫帰属制度の負担金はいくらかかりますか?
A: 基準額は20万円からです。
宅地や農地など土地の種目や面積によって計算式が異なり、面積が大きいほど負担金も増えます。
測量費用や境界確定の費用は別途かかる点も考慮が必要です。
Q: 相続したマンションを売るか持つか、どう判断すればいいですか?
A: 保有コストと売却時の手取り額を数値で比較するのがおすすめです。
固定資産税や管理費・修繕積立金などの継続コストと、売却した場合の想定手取り額を並べて検討します。
相続シミュレーター(/tools/inheritance-simulator)を使うと、この比較を短時間で行えます。
Q: 相続したマンションの査定額が会社によって違うのはなぜですか?
A: 各社の得意エリアや算出方法、営業戦略の違いが主な原因です。
特に高めの査定額を提示して媒介契約を取る手法は業界内で知られています。
複数社の査定を比較することで、適正な価格帯が見えてきます。
Q: 相続した土地の申請から承認までどのくらい期間がかかりますか?
A: 法務局の審査には半年から1年程度を見込む必要があります。
現地調査や書類の追完対応が発生すると、さらに期間が延びることもあります。
余裕を持ったスケジュールで検討を進めることをおすすめします。
相続で得た不動産の判断は、感情だけでなく数字で整理することが後悔のない選択につながります。
マンションについては、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスを活用すると、自分では気づけなかった相場観や売却のタイミングが見えてくることがあります。
無料で使えるサービスも多いため、まずは情報収集の一環として利用してみる価値はあると考えています。