遺留分侵害額請求権【不動産鑑定士がデータで比較】

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遺留分侵害額請求権【不動産鑑定士がデータで比較】

遺留分侵害額請求権とは、遺言や生前贈与によって本来もらえるはずの相続分を侵害された相続人が、金銭での支払いを請求できる権利です。

2019年の民法改正以前は「遺留分減殺請求権」と呼ばれ、不動産そのものを取り戻す仕組みでした。

現在は金銭精算のみとなっています。

私自身、妻が不動産鑑定士という立場から、遺留分をめぐる相談を数多く見てきました。

マンションを相続した際に「誰かの遺留分を侵害していないか」「請求されたらどう対応すべきか」で悩む人に向けて書いています。

遺留分侵害額請求権は、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者・子・直系尊属)に認められた権利です。

侵害された遺留分に相当する金額を、金銭で請求できます。

請求期限は「相続開始と侵害を知った時から1年」、または「相続開始から10年」です。

マンションを1人が相続した場合、他の相続人は物件そのものではなく、評価額に基づいた金銭を請求してきます。

そのため、正確な物件評価と早めの資金準備が、トラブル回避の鍵になります。

マンション売却にかかる税金の基本

マンション売却で利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間によって税率が大きく異なります。所有期間5年以下(短期譲渡)の場合は税率39.63%(所得税30.63%+住民税9%)、5年超(長期譲渡)の場合は税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。ただし「居住用財産の3,000万円特別控除」が適用されれば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、多くのケースで税金がゼロになります。適用条件は、売却する物件に住んでいること(または住まなくなって3年以内)です。

遺留分侵害額請求権とは何か

遺留分とは、一定の法定相続人に法律上保障された最低限の取り分のことです。

たとえ遺言で「全財産を長男に相続させる」と書かれていても、他の相続人の遺留分までは奪えません。

侵害された分を金銭で請求できる権利が、遺留分侵害額請求権です。

以前の「遺留分減殺請求」との違いは重要です。

  • 旧制度:不動産の共有持分そのものを取り戻せた
  • 新制度(2019年7月以降):金銭でのみ精算する
  • 不動産を共有名義にする必要がなくなった
  • 請求された側は現金で支払う義務を負う

この改正により、マンションなどの不動産を巡る「共有状態の膠着」は減りました。

一方で、請求された相続人が急に数百万円単位の現金を用意しなければならないケースが増えています。

誰が請求できるのか

遺留分が認められるのは、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属(父母・祖父母)です。

兄弟姉妹には遺留分がありません。

この点は誤解が多いので注意してください。

相続人の組み合わせ総体的遺留分の割合備考
配偶者のみ、または配偶者+子1/2最も一般的なケース
配偶者+直系尊属1/2配偶者と父母など
直系尊属のみ1/3子がいない場合
兄弟姉妹のみ遺留分なし請求権が発生しない

総体的遺留分に、各相続人の法定相続分をかけた金額が、個別の遺留分額になります。

たとえば配偶者と子1人のケースで、総体的遺留分が1/2、子の法定相続分が1/2であれば、子の個別遺留分は1/4です。

マンション相続で問題になりやすい理由

遺留分侵害額請求で最も揉めやすいのが、遺産の大部分がマンション1件に偏っているケースです。

現金がほとんどなく、マンションの評価額が遺産の8割を占める、といった相談を何度も見てきました。

このような場合、マンションを相続した人は次の2択を迫られます。

  • マンションを売却して現金化し、遺留分相当額を支払う
  • マンションを保有したまま、自己資金や借入で支払う

どちらを選ぶにしても、まず正確な評価額を把握することが出発点になります。

遺留分侵害額請求では、相続開始時点の時価が基準になります。

固定資産税評価額や路線価とは異なる、実勢価格に近い数字が必要です。

このズレを軽視すると、後から金額でもめる原因になります。

まずは無料の価格診断ツールで、あなたのマンションの適正価格をチェックしてみてください。

不動産情報ライブラリの実データをもとに算出しているため、路線価だけに頼るより実態に近い数字がつかめます。

評価額でもめないための3つのポイント

遺留分の計算根拠となる評価額は、当事者間の合意で決まるのが原則です。

合意できなければ、家庭裁判所の調停や訴訟に発展します。

もめないための実務上のポイントは、以下の3つです。

  • 複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の相場観をそろえる
  • 必要であれば不動産鑑定士による正式な鑑定評価を取得する
  • 評価額の根拠資料(査定書・鑑定書)を相続人全員で共有する

筆者が自分のマンションを売却した際も、3社の査定額に480万円の差がありました。

遺留分の計算にこの手の差がそのまま持ち込まれると、請求額をめぐる争いが長期化します。

早い段階で相場を把握し、根拠のある数字を共有することが、結果的に一番の近道です。

売るか、持つか、数字で判断する

マンションを相続した人が最も悩むのは、遺留分を払うためにマンションを手放すべきか、それとも別の方法で資金を用意して住み続けるか、という点です。

判断のポイントは以下の通りです。

  • 売却した場合の手取り額と、遺留分支払い後に残る金額
  • 保有を続けた場合の維持費(固定資産税・管理費・修繕積立金)
  • 借入で遺留分を支払った場合の返済負担
  • 将来的な売却価格の変動リスク

これらを感覚だけで比較すると、判断を誤りやすくなります。

売るか持つか迷ったら、相続シミュレーター(/tools/inheritance-simulator)で数値比較してみてください。

遺留分の支払額、売却時の手取り、保有継続時のコストを並べて試算できるので、感覚論ではなく数字で意思決定できます。

相続シミュレーターは、税金面の試算にも対応しているため、3,000万円控除の適用可否も含めて確認できます。

まとめ

遺留分侵害額請求権について、押さえておくべきポイントを整理します。

  • 遺留分侵害額請求権は金銭でのみ精算する権利で、不動産の現物を取り戻すことはできない
  • 兄弟姉妹には遺留分がなく、請求権も発生しない
  • 請求期限は「知った時から1年」「相続開始から10年」
  • マンションが遺産の大部分を占める場合、評価額の妥当性がもめる最大の要因になる
  • 売るか持つかは、感覚ではなく数値シミュレーションで判断する

遺留分の請求・対応は、法律相談だけでなく、不動産の評価という専門領域も絡む複合的な問題です。

私自身の経験からも、早い段階で相場観を持つことが、結果的に無用なトラブルを避ける近道だと感じています。

売却を選ぶ場合は、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスを活用すると、遺留分の交渉材料となる評価額の相場観を短期間で把握できます。

1社だけの査定額を鵜呑みにせず、比較検討した上で判断を進めてください。

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よくある質問

Q: 遺留分侵害額請求権に時効はありますか?

A: あります。

相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、または相続開始から10年で消滅します。

いずれか早い方が優先されるため、早めの対応が必要です。

Q: 兄弟姉妹にも遺留分侵害額請求権はありますか?

A: 兄弟姉妹には遺留分そのものが認められていません。

そのため、遺言で財産を受け取れなかった兄弟姉妹は、遺留分侵害額請求権を行使できません。

配偶者・子・直系尊属のみが対象です。

Q: マンションの評価額は誰が決めるのですか?

A: 原則として当事者間の合意で決まります。

合意できない場合は、不動産鑑定士による鑑定評価や、家庭裁判所の調停で決着させます。

複数社の査定を取っておくと、話し合いの土台になります。

Q: 遺留分を金銭で払えない場合はどうなりますか?

A: 支払いが困難な場合、裁判所に期限の猶予を申し立てることができます。

マンションを売却して現金化する、あるいは借入で対応する相続人も少なくありません。

早めに資金計画を立てることが重要です。

Q: 遺留分侵害額請求権と遺留分減殺請求権は同じものですか?

A: 異なります。

2019年7月の民法改正前は遺留分減殺請求権と呼ばれ、不動産の現物を取り戻す仕組みでした。

現在の遺留分侵害額請求権は、金銭でのみ精算する制度に変わっています。

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