マンション売却の流れ
全7ステップを
不動産鑑定士が解説
所要期間・必要書類・注意点をステップごとに整理。
データに基づいた失敗しない売却の進め方をお伝えします。
マンション売却の流れは、(1)相場調査、(2)不動産会社選び・査定、(3)媒介契約、(4)売却活動、(5)内覧対応、(6)売買契約、(7)決済・引渡しの全7ステップです。全体の所要期間は3〜6ヶ月が目安で、このうち売却活動(買主探し)に最も時間がかかります。成功の鍵は、最初の「相場調査」で適正価格を把握し、信頼できる不動産会社を選ぶことです。不動産鑑定士の観点では、査定額のバラつきが大きい場合、高い査定額に飛びつかず、根拠となるデータ(成約事例の比較)を確認することが重要です。
マンション売却 全7ステップ
相場調査・情報収集
所要期間: 1〜2週間売却を検討し始めたら、まず自分のマンションの相場を把握しましょう。感覚ではなくデータに基づいた価格認識を持つことが、その後の全ステップの判断基準になります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所要期間 | 1〜2週間 |
| 必要書類 | 特になし(登記簿謄本があれば正確な面積を確認可能) |
| 調査方法 | 不動産情報ライブラリ、レインズマーケットインフォメーション、AI価格診断ツール |
| 注意点 | 販売中の価格ではなく「成約価格」を参照すること。販売価格は5〜10%高い傾向あり |
Q. 相場調査は自分でもできますか?
はい、国土交通省の不動産情報ライブラリは誰でも無料で利用できます。エリア・面積・築年数で絞り込み、直近の成約事例を確認できます。ただし、個別のマンション特性(管理状態・階数・方角など)は反映されないため、AI価格診断ツールや専門家の査定と併用するのが確実です。
不動産会社の選定・査定依頼
所要期間: 1〜2週間最低3社以上に査定を依頼し、査定額だけでなく売却戦略と担当者の質を比較します。査定額が高い会社が良い会社とは限りません。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所要期間 | 1〜2週間(机上査定は即日〜3日、訪問査定は1週間) |
| 必要書類 | 登記簿謄本、管理規約、修繕積立金の明細、固定資産税納税通知書 |
| 査定方法 | 机上査定(簡易)と訪問査定(詳細)の2種類 |
| 注意点 | 「高預かり」に注意。査定額の根拠(比較事例)を必ず確認する |
Q. 査定は何社に依頼すべきですか?
最低3社、できれば5社に依頼するのが理想です。大手仲介会社2〜3社と、地域密着型の中小1〜2社を組み合わせると、異なる視点からの査定が得られます。一括査定サービスを使えば、一度の入力で複数社に依頼できます。
媒介契約の締結
所要期間: 1〜3日不動産会社と媒介契約を締結し、正式に売却活動を依頼します。契約の種類によって、レインズ登録義務・報告頻度・他社への依頼可否が異なります。
| 項目 | 専属専任 | 専任 | 一般 |
|---|---|---|---|
| 他社への依頼 | 不可 | 不可 | 可能 |
| 自己発見取引 | 不可 | 可能 | 可能 |
| レインズ登録 | 5日以内 | 7日以内 | 義務なし |
| 報告頻度 | 週1回以上 | 2週に1回以上 | 義務なし |
| 契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 制限なし |
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所要期間 | 1〜3日 |
| 必要書類 | 本人確認書類、登記識別情報(権利証)、印鑑 |
| 注意点 | 契約期間は通常3ヶ月。成果が出なければ会社を変更可能 |
Q. 媒介契約は途中で解除できますか?
専任・専属専任媒介の契約期間は最長3ヶ月で、期間満了時に更新しなければ自動的に終了します。期間中の途中解除も可能ですが、広告費等の実費を請求される場合があります。一般媒介は基本的にいつでも解除可能です。
売却活動の開始
所要期間: 1〜3ヶ月不動産会社がSUUMO・アットホームなどのポータルサイトに物件を掲載し、購入希望者を募ります。写真と説明文のクオリティが反響数に直結します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所要期間 | 1〜3ヶ月(適正価格なら平均3ヶ月以内に成約) |
| 必要書類 | 物件の間取り図、設備表、物件状況等報告書 |
| 売主がやること | 写真撮影前の清掃・整理整頓、内覧スケジュールの確保 |
| 注意点 | 売り出し価格が高すぎると長期化し「売れ残り」イメージがつく |
Q. 売り出し価格はいくらに設定すべきですか?
査定価格を基準に、相場の5〜10%程度上乗せするのが一般的です。ただし、高すぎる価格設定は避けましょう。売出開始から1ヶ月以内に問い合わせがほとんどない場合は、価格の見直しが必要です。データ上、最初の1ヶ月で反響がない物件は値下げ後の成約まで平均5ヶ月以上かかる傾向があります。
内覧対応
売却活動中(平均5〜10回)購入を検討している方が実際に物件を見に来ます。第一印象が購入意思に大きく影響するため、事前準備が重要です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 平均回数 | 5〜10回(人気エリアは3回程度で決まることも) |
| 重点清掃箇所 | 玄関・水回り(キッチン・浴室・トイレ)・バルコニー |
| 効果的な演出 | 照明を全てつける、換気して臭いを除去、スリッパを用意 |
| 注意点 | 売主は質問に丁寧に答えつつ、セールストークは不動産会社に任せる |
売買契約の締結
所要期間: 1〜2週間買主と条件が合意したら、売買契約を締結します。重要事項説明を受けた上で契約書に署名捺印し、手付金を受領します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所要期間 | 申し込みから1〜2週間 |
| 必要書類 | 登記識別情報、実印、印鑑証明書、本人確認書類、固定資産税評価証明書 |
| 受領するもの | 手付金(売却価格の5〜10%が一般的) |
| 費用 | 印紙税(売却価格1,000万〜5,000万円の場合: 1万円) |
| 注意点 | 契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の範囲と期間を確認 |
Q. 手付金はいくらが相場ですか?
売却価格の5〜10%が一般的で、3,000万円の物件なら150万〜300万円です。手付金は「解約手付」として機能し、買主は手付金を放棄すれば契約解除でき、売主は手付金の倍額を返還すれば解除できます。
決済・引渡し
所要期間: 契約から1〜2ヶ月残代金の受領と物件の引渡しを同日に行います。所有権移転登記、抵当権抹消登記もこのタイミングで処理されます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所要期間 | 売買契約から1〜2ヶ月後 |
| 必要書類 | 登記識別情報、実印、印鑑証明書、住民票、鍵一式 |
| 支払う費用 | 仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税)、登記費用 |
| 受け取るもの | 残代金(売却価格 - 手付金) |
| 注意点 | 住宅ローン残債の一括返済、固定資産税の日割り精算を確認 |
全体スケジュールまとめ
| ステップ | 内容 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 1 | 相場調査・情報収集 | 1〜2週間 |
| 2 | 不動産会社選定・査定 | 1〜2週間 |
| 3 | 媒介契約の締結 | 1〜3日 |
| 4 | 売却活動 | 1〜3ヶ月 |
| 5 | 内覧対応 | 売却活動中 |
| 6 | 売買契約の締結 | 1〜2週間 |
| 7 | 決済・引渡し | 1〜2ヶ月 |
| 合計 | 3〜6ヶ月 | |
よくある質問
Q マンション売却にかかる期間はどれくらいですか? +
マンション売却の全体期間は3〜6ヶ月が一般的です。相場調査に1〜2週間、不動産会社選定に1〜2週間、売却活動に1〜3ヶ月、契約から引渡しに1〜2ヶ月が目安です。ただし、適正価格で売り出せば平均3ヶ月程度で成約するデータがあります。
Q マンション売却に必要な費用は? +
主な費用は仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税)、印紙税(1〜6万円)、登記費用(1〜3万円)、住宅ローン一括返済手数料(0〜3万円)です。3,000万円で売却した場合、仲介手数料は約105万円です。譲渡所得税は3,000万円特別控除の適用で非課税になるケースが多いです。
Q 住みながらマンションを売却できますか? +
はい、住みながらの売却は一般的です。むしろ居住中の方が内覧時に生活イメージを伝えやすいメリットがあります。ただし、内覧のスケジュール調整が必要で、週末に対応できる柔軟性が求められます。空室の方が売却期間は短い傾向があります。
Q マンション売却で失敗しないためのポイントは? +
最も重要なのは適正価格の把握です。複数社の査定を受け、自分でも相場を調査してください。次に、不動産会社選びでは査定額の高さだけでなく、売却戦略と担当者の対応を重視しましょう。高い査定で媒介契約を取り、後から値下げを提案する「高預かり」は業界の構造的問題です。
Q 一般媒介と専任媒介、どちらがいいですか? +
人気エリア・好条件の物件なら一般媒介で複数社に競争させる方が有利です。一方、築年数が古い・駅遠など売りにくい物件は、専任媒介で1社に集中的に販売活動してもらう方が効果的です。専任媒介はレインズ登録が義務化されているため、他社からの紹介も受けられます。
Q マンション売却の仲介手数料は値引きできますか? +
仲介手数料は法定上限(売却価格の3%+6万円+消費税)であり、値引き交渉は可能です。ただし、大幅な値引きは売却活動の質低下につながるリスクがあります。手数料よりも「いくら高く売ってくれるか」で不動産会社を評価する方が経済的メリットは大きいです。