マンション売却を検討している方が最も気になるのは「実際にいくらで売れるのか」ではないでしょうか。不動産会社から提示される査定額や、SUUMOなどのポータルサイトに掲載されている売出価格は、実際の成約価格とは異なります。
本記事では、SUUMOの売出価格3,839件と国土交通省・不動産情報ライブラリの成約価格88,661件を独自に突合分析し、売出価格と成約価格の乖離率を明らかにします。
マンション価格を決める5つの要素
国土交通省の取引データ分析によると、マンション価格に最も影響する要素は①立地(駅徒歩分数)、②専有面積、③築年数、④階数・方角、⑤管理状態の5つです。中でも駅徒歩分数の影響は大きく、徒歩1分あたり約3〜5%の価格差が生じます。徒歩5分と徒歩10分では15〜25%の差になる計算です。次に影響が大きいのは築年数で、築1年あたり約1.5〜2%ずつ価格が下落する傾向があります。
結論:成約価格は売出価格より平均29.3%低い
当サイトの分析によると、**㎡単価ベースでの平均乖離率は-29.3%**です。
つまり、SUUMOで「8,000万円」と掲載されているマンションと同条件の物件は、実際には約5,700万円前後で成約していることになります。
この乖離が生じる主な理由は以下の通りです。
- **売出価格は「希望価格」**であり、値引き交渉を前提に高めに設定される
- **不動産会社が「高預かり」**で媒介契約を取るために査定額を高く提示する
- 売れ残り物件がSUUMOに残るため、実際より高い価格帯が多くなる
- 成約データは値引き後の実勢価格を反映している
区別の乖離率:最大55%の差がある区も
東京23区の中でも、区によって乖離率に大きな差があります。
| 区 | 売出平均(万円) | 成約平均(万円) | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 千代田区 | 21,743 | 9,729 | -55.3% |
| 新宿区 | 11,662 | 6,251 | -46.4% |
| 豊島区 | 9,290 | 5,182 | -44.2% |
| 品川区 | 11,829 | 6,689 | -43.5% |
| 文京区 | 10,940 | 6,393 | -41.6% |
| 目黒区 | 12,021 | 7,296 | -39.3% |
| 台東区 | 7,990 | 4,934 | -38.2% |
| 大田区 | 6,495 | 4,101 | -36.9% |
| 墨田区 | 6,181 | 4,085 | -33.9% |
| 中央区 | 13,215 | 8,791 | -33.5% |
| 杉並区 | 6,994 | 4,798 | -31.4% |
| 北区 | 6,319 | 4,487 | -29.0% |
千代田区が-55.3%と最も乖離率が大きく、SUUMOの売出価格2億1,743万円に対して成約平均は9,729万円です。都心部ほど超高額物件の売出が平均を押し上げている傾向があります。
一方、**港区は唯一プラスの+13.9%**でした。これは港区の成約データに億超えの超高額物件が含まれていることが要因と考えられます。
築年数別:築浅ほど乖離が小さい
| 築年数 | 乖離率 |
|---|---|
| 築0-5年 | -26.3% |
| 築5-10年 | -43.7% |
| 築10-15年 | -49.2% |
| 築15-20年 | -49.1% |
| 築20-25年 | -44.7% |
| 築25-30年 | -39.4% |
| 築30年超 | -37.1% |
**築10-20年の物件で乖離率が最も大きく、約49%**です。これは、新築時のプレミアムが剥がれ始める時期に、売主が「まだ高く売れるはず」と期待して高い売出価格を設定する傾向があるためと分析しています。
築浅(0-5年)は需要が強く、売出価格に近い価格で成約しやすいため乖離率が小さくなっています。
面積帯別:80-90㎡が最も乖離が大きい
| 面積帯 | 乖離率 |
|---|---|
| ~30㎡ | -29.2% |
| 30-40㎡ | -29.7% |
| 40-50㎡ | -27.4% |
| 50-60㎡ | -36.1% |
| 60-70㎡ | -30.4% |
| 70-80㎡ | -35.4% |
| 80-90㎡ | -37.5% |
| 90-100㎡ | -29.5% |
| 100-150㎡ | -22.5% |
80-90㎡の物件が-37.5%と最も乖離率が大きい結果となりました。ファミリー向けの広めの物件は、売主の希望価格と市場実勢の差が大きくなりやすい傾向があります。
100㎡超の大型物件は富裕層向けで価格交渉力が高いため、比較的乖離率が小さくなっています。
この分析結果をどう活用するか
1. 不動産会社の査定額を鵜呑みにしない
査定額は「売出価格の提案」であり、「成約できる価格」ではありません。当サイトのデータでは平均29%の開きがあります。
2. 複数社の査定を比較する
1社だけの査定では、それが高預かりなのか適正なのか判断できません。最低3社以上の査定を取り、成約データと照合することをお勧めします。
3. 当サイトの価格診断ツールで成約ベースの価格を確認
当サイトのAI価格診断ツールは、国土交通省の成約データに基づいて推定価格を算出しています。不動産会社に査定を依頼する前に、まずデータに基づいた価格を確認してください。
まとめ
- 売出価格と成約価格には平均29.3%の乖離がある
- 区によって乖離率は**-55%から+14%まで**大きな差がある
- 築10-20年の物件で乖離が最も大きい(約49%)
- 不動産会社の査定額は売出価格であり、成約価格とは異なる
- 複数社の査定比較と、成約データに基づく価格確認が重要
売出価格だけを見て「自分のマンションもこれくらいで売れる」と思うのは危険です。まずは成約データに基づいた適正価格を知ることが、賢い売却の第一歩です。
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よくある質問(FAQ)
Q: なぜ不動産会社は高い査定額を出すのですか?
A: 媒介契約を獲得するためです。高い査定額を提示して売主との契約を取り、その後「やはり売れないので値下げしましょう」と提案するのが「高預かり」と呼ばれる業界の慣行です。
Q: 売出価格と成約価格の差は縮まってきていますか?
A: 市場が活況な時期は差が縮まり、停滞期には広がる傾向があります。現在のデータでは約29%の乖離があり、売主は成約データを把握した上で売却戦略を立てることが重要です。
Q: 査定額が成約データより高い場合、値下げすべきですか?
A: 必ずしも即座に値下げする必要はありませんが、成約データとの乖離が大きい場合は、売却期間が長期化するリスクがあります。当サイトの専門家コンサルティングでは、適切な価格設定戦略をご提案しています。
分析データ: SUUMO売出物件3,839件 / 不動産情報ライブラリ成約データ88,661件(2026年3月時点) 不動産鑑定士監修 | データサイエンティスト分析